2026/09/06 13:03

美術館に足を運ぶ時間、最近ありましたか。

仕事に追われる毎日の中で、静かに一枚の絵と向き合う時間を持てている人は、きっと多くはないと思います。

私自身、絵を描く仕事をしながらも、実際に美術館へ足を運べる機会は限られています。それでも心のどこかで、あの空間特有の静けさと品格に、ずっと憧れ続けてきました。

そんな思いから生まれたのが、「おうち美術館」という暮らし方です。

「おうち美術館」というコンセプトについて

もともと私は、何かにコンセプトを持たせて空間をつくり上げることが好きでした。

アクアリウムをつくるときは、どんな水草や流木を、どんな配置にすれば理想の情景に近づくかを何時間も考えましたし、花壇づくりでも、花の色や種類の組み合わせで表情がどう変わるかを試行錯誤してきました。

そんな私にとって、西洋の美術館や、海外の画家が暮らしていそうなアトリエは、ずっと憧れの空間でした。

けれど、実際にそこへ足を運ぶのは簡単なことではありません。

だったら、せめて自分の好きな空間だけでも、美術館のような落ち着いた空気をまとわせたい。軸となる一枚の絵画、そして品性のあるドライフラワー。

そうした要素を組み合わせれば、自分の理想とする空間を、自分の手で実現できるのではないか。「おうち美術館」というテーマは、そうした思いから生まれました。

馬を描くようになるまで

私が馬を描くようになったきっかけは、中学生の頃にさかのぼります。

ラッセンの作品が好きだった親に連れられて、地元で開催されていたクリスチャン・ラッセンの展示会に足を運びました。

定番のイルカの絵にももちろん惹かれましたが、そこで初めて出会った、鮮やかな海辺を走る白馬の絵に、当時の私は強く心を掴まれました。

当時の画力ではとても描けるはずもなく、ただ「いつか、こんな絵を描いてみたい」という漠然とした目標だけが胸に残りました。

その目標が形になったのは、大学生になり、多少なりとも画力が身についてからのことです。初めて競走馬の絵を描いたのが、この時期でした。

とはいえ最初は競馬の世界についてほとんど知らないまま、「走っている馬を生で見てみたい」という単純な動機で、府中の競馬場に足を運んだのを覚えています。

その日に立ち寄った競馬博物館で、数々の名馬の絵が並ぶ光景を目にした瞬間、「いつか自分もこんな風に、馬の絵を描き続けていきたい」という目標がはっきりと定まりました。

それまで描いていた昆虫画にはなかった、毛並みの柔らかさや、血管が浮かび上がる生き物としての質感、一頭一頭違う表情の描き分け。

そのすべてが私にとって新しい発見であり、今も尽きることのない楽しさになっています。

一気に描き切る、という制作スタイル

私は元来、筆が速い方だと思います。

一番慣れ親しんだ鉛筆画であれば、1時間ほどで一枚を描き上げることも珍しくありません。時間のかかるアクリル画であっても、何日もかけて描き続けることはあまりありません。

これは、描き始める前の準備に理由があります。実際に筆を動かす前に、構成や色使い、どこに視線を集めたいかを、自分の頭の中である程度組み立てておくのです。

描き始めてからは、その設計図に従ってただ手を動かしていく、という感覚に近いかもしれません。

そこには、絵に自分の感情を込めたいという思いもあります。

心が動いた瞬間の熱量が冷めないうちに、一気に描き切りたい。だからこそ、緻密に描き込むというより、ダイナミックに筆を走らせる描き方の方が、自分の性分には合っていると感じています。

絵のある暮らし

今、私の部屋には、大小さまざまな馬の絵と、アンティークの小物たちが共存しています。

作品によっては、あえてゴージャスな額装を選ぶことで、日常から少し離れた特別な空気をまとわせています。

忙しい毎日の合間に、ただぼんやりと作品を眺める時間があるだけで、少し心がほどけていく感覚があります。

絵そのものは動かないはずなのに、見つめているうちに、まるで一本の映像のように、その情景が浮かび上がってくることもしばしばです。

どんなレイアウトにするか、どんな額縁を合わせるか、どんな小物と組み合わせるか。

それを考えながら日々を過ごす時間自体が、私にとってかけがえのない楽しみになっています。

実際にオーダーをいただいたお客様からも、部屋に飾った作品と、そのモチーフになった馬とを一緒に撮った写真が届くことがあります。

誰かの暮らしに、こうして「好きなものに囲まれた空間」を届けられていることを、いつもうれしく思っています。

描くことを通じて、恩返しを

馬を描くようになってから、競馬という世界にも自然と触れるようになりました。

一頭一頭に血統があり、生まれ育った牧場があるという物語性に、絵を描く人間としてどうしようもなく惹かれていきました。

けれどその一方で、レース中のケガで命を落とす馬や、引退後の行き先がわからないまま、ひっそりと表舞台から姿を消していく馬たちの存在も知ることになりました。

「自分にできることがあるのではないか」。そう考えるようになったのが、引退馬支援活動を始めたきっかけです。

そんな中で出会ったのが、「生牧草バンク」という取り組みでした。農薬不使用の生牧草をクラウドギフティング形式で贈るこの仕組みは、馬にとって何よりのご馳走を、シンプルかつ確実に届けられる方法でした。

登録されている馬の中に、かつて自分がモチーフとして絵を描いたことのある「オーロアドーネ号」の名前を見つけたときは、迷わず初めての寄付を行いました。

それがきっかけとなり、SNSを通じて同馬の管理者の方ともつながりを持てるようになりました。

今では、オーロアドーネ号をモチーフにした作品やグッズの売上の一部を、生牧草バンクを通じて寄付する仕組みをつくっています。

関わる誰もが、それぞれの形でうれしい気持ちになれる。そんな好循環を、これからも様々な乗馬クラブや支援団体とのつながりの中で広げていきたいと考えています。

おわりに

美術館へ、なかなか足を運べない日々の中でも。一枚の絵と静かに向き合う時間、品性のある小物に囲まれた空間は、暮らしの中にきちんとつくることができます。

あなたも、美術館のようなおしゃれで静かな、感性が引き立てられる空間に、暮らしてみませんか。

このショップも、そんな「おうち美術館」の入り口となるように、一つの美術館をイメージしてつくりました。どうぞ肩の力を抜いて、館内をめぐるように、ゆっくりと作品をご覧いただけたら嬉しいです。

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Horse Art Creator

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